ファスト&スローがわけわからん人向け!!分かりやすく解説!

人は・・・、基本自信過剰である。バイアスが原因で。

ファスト&スローは、沈黙のwebライティングの198ページに触れられていて、個人的に気になり手に取りました。

帯には東大でいちばん読まれた本と書いてあり、「東大生みんなこれ知ってるの?!知識格差!」と私は複雑な思いになったとかなっていないとか。

いざ読んでみますと、

私「ふっ、なるほどね・・・(訳:わけわかんないわ、コレ。)」

ちょっとこれ・・・読んでも頭がこんがらがりそうだぞ;;という人に向けまして、私なりに簡単に解説をば。

本書で分かることはたくさんあり過ぎて書ききれませんので、特に私の独断でこれがびっくりした!てことを挙げていきますね。

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難解だが分かりやすい構成

「やたら難解な専門書か!?」と警戒してしまいそうですが大丈夫です。(かわいらしい挿絵はないので絵本や漫画みたいな読みやすさは流石に期待するのは難しいですけども)。

それでもなるべく親しみを持てるように、工夫されています。

例えば、読者さんも一緒に考えられるようにまず問題を出して、答えは後で!という形式です。

いわゆる参加型になっています。

また、色々と小難しいこといったけど要するにこうだよ、と簡単な説明を入れてくれるので、ただ頭が痛いまま終わった、気づいたら眠りこけてた、なんていう心配はありません。

さらに、各章の後ろには日常生活ではこんな時に使えますよ、と使用例が載っています。

ふだん、知的な人間同士でないと成立しないですけども。本当に使ったら(何をいってるの?この人・・・)と怪訝な顔をされること間違いなしです。

でもこんな風に日常生活にバイアスの話題が出るようになればいいかもしれないですね。せっかく知れたのですから、ふだんの会話の中で使うぐらいに一般的になってくれたら、もっと間違いをせずに暮らしていける気がします。

メインとなる実験の詳細は書籍を見て頂くことにして・・・、本当にちんぷんかんぷんですよ!

はっきりいって1度読んだだけでは理解できないです。

私は音読でかろうじて読破しきりました。でも分かってないところがあちこちに。特に下巻の確率あたりが、途中で読み飛ばしましたと正直にいっておきます。

2回目はなるべく理解しようと努めましたが・・・、結果はいわんこっちゃない。えーと、まあ要するにこうでしょ?(途中の理屈をすっとばし)といった感じです。

この書籍で分かること

全体としては、カーネマン博士の若い頃から、ノーベル経済学賞をとるまでの間に行った実験と、彼がどう思ってきたか分かります。

今回バイアスを主題にした経緯も書かれていますね。

その中でくりかえし出てくるのが題名にもなったファストとスローです。

上下巻にわたり触れられて、非常に濃厚!

私は両方おすすめします。

そもそも1冊にまとめたかったけれど、長過ぎて二分したのが上下巻なわけです。なので、どちらか一方だけではカーネマン博士の伝えたいことが把握しきれない恐れがあります。

もちろんどうしても読破できる自信がないなら上巻だけでもおすすめです。上の方が馴染みやすい話題に多く触れられているかなあと私は思いました。

だけど改めて何度も読みなおしますと実は下巻も結構重要なことが書いてあったりします。

最終的には幸福にまで手が伸ばされ、テーマが哲学に近くなり、多分博士が最も触れたいのはここじゃないかって思いました。

下巻最後には付録として実際の論文がついています。(私はここは全然読んでいません。)手前には、解説が入っています。別の視点で要点が分かるのではないでしょうか。

●ファストとスローってなんなんだ?

で、肝心の本題であるバイアスなんですが、本書によればファストが引き起こす原因です。

ファスト
第一印象でぱっと出てくる、とっさに出る思考。だいたい合ってるが、間違っていることもしばしば。とても簡単な計算、慣れきったことが得意。自信満々に答えを出してくるのが特徴。損に即座にアンテナが動く、ほぼほぼ考えない。

スロー
ファストの後で出てくる思考。基本腰が重くファストの出した答えにあっさり許可を出しておしまいにする。複数の商品の比較、最初に判断したことが本当に正しいかの検証、パッと見では分からない難しい計算を担当する。時間と手間をかけてじっくり考える。

もっとわかりやすくいいますと
「うんうんなるほど・・・←ファスト
いや、ちょっと待て!←スロー」
でしょうか。

エネルギーを使いたくない人ほどファストに頼りがちです。

スローを使うと自我消耗(頭がへとへとぐったり、すごく甘い物が食べたくなる)します。だから、脳はなるべくエネルギーを節約したいと考えます。

エネルギーを使わないことが正しいと勘違いするのが脳の本質です。すきあらば真剣さを欠こうとする。

しかし、当然ですが実際は答えが外れる可能性を上げる行いです。エネルギーを使ってでも真実を追究するのが本当の正しさといえます。

ところが、多くの人は大変なので、特に自分事じゃない場合は省いたり適当にしたりして、すぐにパッと思いついた答えに納得します。

例えばちゃんと文を読まないとか、ネットのコメント見ててよく思います。ファスト人間だーとひそかに名付けています。

ファスト人間の方が数が多いとは感じます。むしろ増えてないかとも。

時には自分事なのに間違ってると気づかないで行動し案の定、な結果を迎えることだってあります。

他にはこんなことをやっていたらファストですね。

  • 事実ではなく美化や一般的にいわれているイメージ像を正解だと思い込む。
  • 質問に答えてないのに答えた気になる。
  • 明らかに損なのに、気づかないで状況次第では迷わず選んでしまう。

特にエネルギーを必要とせず簡単に答えが出せた時は、気をつけた方がいいかもしれません。

また、どうやら生まれつきどっち寄りかある程度決まっているみたいで、やっぱりスロー寄りの方が優秀です。

私子供の頃から思い込みが激しい自覚があったんですが、なんでだろう・・・とずうっと悩んでました。ただ単にファスト寄りだっただけと分かりました。考え方を変えて、今では少しはスローになれた気がします。

私はこれがびっくりした!

私のびっくりしたことは、以下の5点です。

1●ただの偶然に勝手に意味をつけるのはバイアスだ。

本当の偶然なのに何かの誰かの意図がある(必然)と信じることです。だから都市伝説は・・・ですね。

で、それは時に自分にも向かいまして。

偶然うまくいっただけなのに、できる私すごい!と勘違いする恐れが生じます。ここが特に経営者にありがちと本書で指摘されています。

2●機械の方が人間よりもよっぽどアテになる!?

人間は疲れていたりお腹が空いていたりすると、判定が雑になるうえ、どんなに気をつけていてもファストが出てきます。

しかも、人によって判定ポイントがばらばらです。

よくお仕事でも同じ質問したのに答えが微妙に違っていて統一されていないこと、あるでしょう。

質問したこっちとしては誰が正解を教えてくれているのか分からず、なんなのっ?て思いをすることがよくあります。

対して、機械はどんな状況下でも指示されたことをこなします。

お腹がすく、疲れる、なんてありえません。故障はあるかもしれないですが、人間と比べて発生頻度は低いです。

カーネマン博士は機械の方がよっぽどましだよーのようなことをいって、システムに採り入れようとしました。

でも専門家達は猛反発!

人間の心情が機械の勝利を認めたくないのじゃないかと博士は分析しています。

ニンゲンノアタタカミガー キカイジャツメタイー

せめてばらばらな判定ポイントを統一して、統一したルールを必ず使うようにと約束させることで解決しました。

もちろん精度は上がっています。

3●エスパーになれない?いやなれるんだなこれが・・・。

まさかそんなところで気持ちが出ちゃってるとはっ!というのは上巻の第2章で分かります。

大きくなったり小さくなったりするあの部分です!

4●専門家でもよく起きてるバイアス!

「ん?専門家ならみな押しなべて凄い人なんじゃないの?」

「バイアスって素人だけに限ったハナシでしょ?」

いえいえ、その道の専門家だからといってもしょせん人の子。素人と同じ過ちをしてしまう、しかもそのことに本人は気づいていない・・・。

たまたまだと片づけてまた繰り返すんです。私はできる人間だけど、時にはこんなこともあるよねHAHAHAと流すタイプの専門家はちょっとあれっ?です。

例えばテレビ番組に出る有識者ですね、なんだかうーんなのっていうのは。自称プロといわざるを得ない面があると。

なのに本人たちは決して自覚しないです。むしろ逆に指摘した人物(カーネマン博士)に、あなたは素人だから分からないでしょ?と肩をすくめて話がおわります。

高いお給料もらって企業に認められていたらなおさら気づけないのはしょうがないかな・・・困っているわけではないから。

同じ専門家でも消防士ならバイアスが生じにくいです。

本人のたゆまぬ努力と研さんによって磨かれた勘なら有効ですが、なんとなくとか私が個人的に好きだから正しい!っていうのは「んん?」ってなるわけです。

本人の技術に基づいたのなら正しいファスト、完全に感情じゃん子供でもできるよ!なのは間違ったファストと区別できるかと思います。

ファストだからって全て間違ってるわけじゃないです。

そして、知識をちゃんと持ってて何十年も携わるプロでも、いざ自分事になると正確な判断ができないことがあります。

使うべきときに、持ってる知識を即座に使えないのです。

他人事の時は余裕で冷静になれるんだけど、当事者になったとたん、何も知らない人とまったく同じ行動を取ってしまう・・・。

ファストは専門家でもなかなか取れない性質。止めることはできないんだなと知りました。

5●社長はだいたいが自信過剰!?

誰もが自分を信じ過ぎるところがありますけど、中でも社長は特にその特徴が見られます。

なぜだか自分はいつでも順風満帆だと思っていて、どんな困難でも乗り越えられると信じている性質が強いです。

いつもパワフルな人物はウケがいいので、人が自然と集まるため、結果成功しやすく、望みが叶ってしまうこともあいまって余計に自信を深めてしまいます。

ちょっとそれってどうなのー?と本書では投げかけています。

あとは、検証数が足りないほうが確信を深めてしまうバイアスだとか、みんな失敗してるなら自分も同じ運命を辿るのに自分は違うと慢心するバイアスだとか色々ありますが、多過ぎるのでもうやめておきます。

要約

今回の話はとても難解だと思いますので、改めて。

  • ファストとは最初にパッと思いついた考え。小さな子供だとか動物的な感覚に近い。
  • スローとはファストが出した答えを、採用するか修正するかできる、いわばチェック機関。

ところが、スローは消極的なのが基本姿勢です。たいがいファストの出した結論を採用しておわりにしてしまいます。なぜならエネルギーを使わなくていいからです。スローを使うととってもお腹がすくんです。

しかし、ファストに頼りすぎているとバイアスでたくさん失敗をするようになるので、本書で脳の仕組みを知って、対処できるようにしましょうねということです。

こうすれば脳がやらかすミスを予防できますよ!といった対策も分かりますから、ああ新しい知識を仕入れたぞよかったよかっただけでは、もったいないと思います。

生活に採り入れて応用すれば、今よりは得することが増えると私は強く確信しています!