松ぼっくりを食べる動物
カラス
松ぼっくりを主食としているカラスの中で、有名なものは、ホシガラスです。
真っ黒ではなく、白い点々がたくさん、主に顔や胸、背中のあたりに集中してついています。
登山愛好家なら一度は見たことがあるといわれています。
ただ、積極的に調査されているわけではなく、生態は、まだまだわからない部分が多いです。
生態
特に、ハイマツの松ぼっくりを好物とします。
秋、ハイマツがたくさん生い茂った森の上空に群をなす姿がよく見られます。
取った松ぼっくりは、その場ではなく、岩の上に運んだ後で、食事をはじめます。
クチバシはかたく、つついて松ぼっくりの皮をばらばらにして、中の種子を抜きとってから、食べます。
外皮をとるのに手こずった時は、足の間にはさんで固定してから、クチバシをぶつけます。
ただ、食べるだけではなく、冬に備えて松ぼっくりの種を貯めておくこともします。
松ぼっくりの種を取り出すと、喉にある袋にためこみます。
たくさん詰め込んでいる場合は、明らかに喉が膨らんでいる姿が遠くから見てもわかります。
主な種の隠し場所は、木にできた隙間、土の中、岩陰などです。
ホシガラスの記憶力はとても優れていて、雪に隠れた松ぼっくりの実を的確に探り当てることができます。
雪(目には見えないし、臭いもしない状況)でもわかるのです。
貯める種の数は、とても多く、1年につき、およそ3万個です。
3万個を、約8000か所に小分けして隠しています。
他の動物に横取りされた時のためです。
自分が忘れてしまった時の事も考えているでしょう。
さすがにすべてを回収しているとは考えにくく、実際はたくさん種が余ります。
しかし、芽を出してマツがどんどん生えれば、ホシガラスのエサ場が増えますから、余らせても特に問題ないです。
マツにとっても、問題ありません。
種を遠くまで運んでくれて子孫の増える手伝いをホシガラスがしてくれるからです。
松ぼっくりの種を貯める、もう一つの理由
ホシガラスが松ぼっくりの種を貯めるのは、冬を切り抜けるためだけではありません。
春に訪れる子育ての時期のことも考えています。
生まれたこどもに与えるエサの多くは、貯めておいた松ぼっくりの種です。
貯めておけば、たとえ食べ物がとれない年に当たったとしても、ヒナがお腹をすかせる心配がへります。
ホシガラスが確認できる場所で、有名なのは富士山です。
しかし富士山にはハイマツが生えていません。
代わりに、ゴヨウマツの松ぼっくりを食べています。
ゴヨウマツは、麓にありますので、わざわざそこまで移動して、収集します。
それから、頂きに向かって、2km、一番遠くて10km先(森林があるギリギリの境)まで移動し、松の実を貯めこみます。
不作の年は、群でマツのある場所へ引越すことがあります。
どんぐりなど、他の実を代わりに貯める場合もあります。
ホシガラスは木の実しか食べれないわけではなく、基本雑食です。
夏はネズミ、カエル、いろんな昆虫、鳥の卵、人間の残飯なども食べます。
ホシガラスの性格
ホシガラスは、どちらかといえば、人なつこいです。
一般的なカラスのイメージと違いますね。
ハシボソガラス、ミヤマガラスなどです。
かたそうな松ぼっくりから、種のついたところだけをくちばしで引っこ抜いて食べます。
うさぎ
うさぎは目の前に物があると、何であっても口に入れる習性を持ちます。
松ぼっくりも例外ではありません。
うさぎは、松ぼっくりが大好きで、おもちゃにしたり、食べたりします。
皮ごとパキパキ壊しながら食べるので、残るのは芯だけです。
松ぼっくりは、食べながらついでに歯のよごれも落とせる小動物用おもちゃとして売っており、ペットとして飼う方が愛用しています。
ウサギの歯は、例えば人間の爪と同じように放っておくと伸びて止まりません。
あまり長いと困るので、うさぎは、かたい木の皮や根をかじって歯をけずり、一定の長さに保っています。
中に虫がいることもよくありますし、管理として松に殺虫剤がまかれていたら、松ぼっくりにも付着してしまっている可能性があります。
ちなみに、どんぐりは、同じ木の実ですが、うさぎには不向きです。
どんぐりは、アク(タンニン)がたくさん入っている種類ですと、うさぎの内臓に負担がかかるからです。
猿
猿も、松ぼっくりを食べます。
外のかたいゴツゴツした皮は食べないで、中に実った松の種を食べます。
他には、フルーツ、新芽、葉っぱ、花の蜜、キノコ、卵、虫などなど基本、なんでも食べます。
猿が大好きな食べ物=バナナと思いがちですが、実際はちがいます。
動物園の猿が食べているのがたいていバナナであることから、イメージがついたものだと考えられます。
生息地に合わせて、食べる物を変えてもいます。
また、これまで手に入れる能力がないために、食べる事ができずにいたところ、人間の行動を真似するうちに食べるようになったケースが実際にあります。
例えば、魚です。
人間が漁をする様子を観察して、捕まえる技術を覚えたのです。
犬
犬の場合、ごはんとして、というより間違ってゴクンと丸飲みしてしまったパターンが目立ちます。
例えば、散歩中に、松ぼっくりをボールに見立てて遊んでいる時やちょっとくわえていた時に、うっかり、というような形です。
「松ぼっくりの何が危ないか?」
毒はないです。
問題は「大きさと数」です。
大きいものも、もちろんよくありませんし、小さくても、いくつも食べますので胃腸にダメージをあたえて、元気がなくなります。
いつもと様子がおかしくなります。
・じっとして動かない。
・食欲がない。
・好物を食べたがらない。
・何度か吐く。
・フンに松ぼっくりの一部が混じっている。
・血便が出る。
・下痢する。
・最悪、腸で詰まって出てこない(腸閉塞のおそれ)
→入院で、開腹手術する場合も。
苦しむ素振りがないからといって、大丈夫だと安心するのはやめた方がいいかもしれません。
念のため、電話だけでも、いつもお世話になっている獣医さんに相談してみることをおすすめします。
それから、行くかどうか決めても遅くはないと思います。
動物病院へいく時は、どのような松ぼっくりだったか獣医さんに見せるために、似ている物が見つかれば持参した方がいいでしょう。
すでに飲み込んでしまっている時は、人間の手で吐かせるのは、まず不可能です。
やはり、動物病院に診せるのが確実かと思います。
もしかしたら、融通をきかせて対応してくれるかもしれませんので、だめ元で電話をかけてみます。
(休みだとしても入院中のペットがいれば、だれかがいる可能性)
不在だった場合は、別の動物病院を探すか、ひとまず様子を見て、自然と回復するのを待つかを
してみます。
どうしたら松ぼっくりを食べる行為をやめてくれるか
・松ぼっくりの落ちていない場所へ、散歩コースを変える。
・松ぼっくりを食べないようにしつける。
・松ぼっくりが落ちている場所を通るとき、しっかり見張る。
・食べそうだと思った時にリードを引っ張る、叱る。
くわえているところを、ダメ!と叱り付けたり無理やり奪おうとすると、逆効果です。
「奪われてしまう!まずい!」と犬が飲んでしまうためです。
おやつをちらつかせて、そちらに気が向いたすきに松ぼっくりをとってやろうと思っても
逆効果です。
松ぼっくりを食べればおやつがもらえると学習してしまいます。
犬が松ぼっくりを食べないようにするしつけ方
あらかじめ、決まった言葉(ちょうだいなど)を投げかけると、自然とくわえていたものを
離すようにしつけておきます。
●しつけ3ステップ
1
初めは飼い主さんの気持ちが犬に伝わりやすいおもちゃを使います。
(ロープなど)
2
犬と遊んでいる時に、ロープを持つ手の動きを止めたら「ちょうだい」など、決めた言葉をいいます。
3
言う通りに犬が手放したら、いっぱい褒めます。
1~3を繰り返します。
犬がロープを引っ張ってきた時に引っ張り返したら、しつけではなく遊びだと思われます。
また、ちょうだいといいながら、奪ってしまったら、犬は、ちょうだいといわれたら奪われる、
と学習します。
すると、松ぼっくりをくわえている時にちょうだいといわれると奪われると思い、やはり飲み込んでしまいます。
リス
リスは松ぼっくりを実(種)だけでなく、外の皮(鱗片)まできれいに、たべきることができます。
あとに残るのは、芯だけです。
まるで、揚げたての本物のエビフライのようです。
ちょうどいい具合にエビの尻尾もついています。
冬、マツの木のある山を散歩していて、地面にエビフライをみつけたら、リスが近くにいるといえます。
リスは松ぼっくりの他にもいろいろ食べています。
例えば
- ドングリ
- クルミ
- キノコ
- 木の芽
- 虫
- 花
- 昆虫
を食べます。
リスは貯めた木の実をすぐとりだせる工夫をしている
リスといえば、冬に備えて食べ物をたくわえる習性があることがよく知られています。
ただ適当に貯めているわけではなく、木の実なら、種類ごと、大きさごと、と同じ特徴をしたもの同士を固めて集めたうえで隠しています。
カテゴリーわけしておく事で、どこに何があるか、すぐ思い出せる工夫をしているのです。
中にはどこに隠したのだか忘れてしまうリスもいます。
人間といっしょでリスも性格によってちがうのかもしれません。
6個ぐらいまでといわれています。
(頬袋と口あわせて)
しかし頑張れば、最大9個まで入ることもあります。
中には、「もうこれ以上は入らないのでは?」とこちらからしたら思うのですが、まだグイグイ詰め込んだり 大きな実を無理やり詰め込もうとしたりするリスもいます。
これも、個人の性格が出るところなのかもしれないです。
松ぼっくりを食べる動物が多い理由
食糧難になる冬でも存在しているからです。
多くの木々が枯れ果てる冬は春や夏に比べると、食べ物が激減してしまううえ、雪が降って来て 土の中にいる生き物も、とるのが難しい季節です。
冬にも取れるおかげで、松ぼっくりは、いろんな動物に人気の食べ物になっています。
松ぼっくりに種ができるのは10月からです。
動物の中には冬に備えて、松ぼっくりの種を集めて回って、色んな所に隠しておくのもいます。
要約
松ぼっくりを食べる動物は、いろいろいます。
リス、うさぎ、犬、猿、ムササビ、 野鳥、カラスなどなど、本当にたくさんの動物が食べています。
それぞれ食べ方は様々です。
中の種だけを食べたり。
皮ごと残さず食べたり。
中には、食糧としてではなくおもちゃとして遊ぶ動物もいます。
松ぼっくりは動物たちにとって大切な遊び相手、大切な食料となっています。
そのため人気なのです。
私たち人間にとってもとても身近です。
リースの飾りにしたり、小さなこどものおもちゃにしたり。
松ぼっくりが地面に落ちているのを発見すると、おもわずこどもの頃を懐かしむ方は多いのではないでしょうか。
ふつうの木の実とはちがう独特の形が、私たちや動物たちの好奇心をくすぐるのかもしれませんね。