「自動車が歩行者のそばを通るときは徐行でいいんだっけ?あれ。間違った。どうして?」
教習の学科試験問題で、なぜ自分の解答が間違ったのかわからないことがありますよね。
問題文をよく見ると、言い回しが正解と比べたときに少し違っています。
まずは正しい交通ルールを確認してみましょう。
歩行者のそばを通るときに徐行→正解は?
正解
↓
●安全な間隔をとる
または
●徐行する
どちらかをする
です。
第十八条 2 車両は、前項の規定により歩道と車道の区別のない道路を通行する場合その他の場合において、歩行者の側方を通過するときは、これとの間に安全な間隔を保ち、又は徐行しなければならない。
【道路交通法第十八条の2】
また例外で、
歩行者が
●身体の不自由な人
●高齢者
●子ども
の場合は、一時停止 または 徐行をします。
第七十一条 二 身体障害者用の車椅子が通行しているとき、目が見えない者が第十四条第一項の規定に基づく政令で定めるつえを携え、若しくは同項の規定に基づく政令で定める盲導犬を連れて通行しているとき、耳が聞こえない者若しくは同条第二項の規定に基づく政令で定める程度の身体の障害のある者が同項の規定に基づく政令で定めるつえを携えて通行しているとき、又は監護者が付き添わない児童若しくは幼児が歩行しているときは、一時停止し、又は徐行して、その通行又は歩行を妨げないようにすること。
【道路交通法第七十一条第二号、第二の二号】
二の二 前号に掲げるもののほか、高齢の歩行者、身体の障害のある歩行者その他の歩行者でその通行に支障のあるものが通行しているときは、一時停止し、又は徐行して、その通行を妨げないようにすること。
●「歩行者が路側帯を通っているときはさっさと通り抜けていいの?」
↓
いいえ、同じく安全な間隔をとるか徐行するのが正解です。
ポイントは、「歩行者がいるべき場所にきちんといるか?」ではなく「もしもの時、車が対応できるか?」です。
ですから、どこを歩行者がわたっていたとしても「危ない、ぶつかりそうだ」と思うのであれば気をつけるのが正しいです。
路側帯に入っていたとしても、車から身を守ってくれるものは何もありません。
ぶつからないように車側が気をつける必要があります。
●安全な間隔って?
↓
目安は最低 1.5m です。(歩行者が気づいていないとき)
歩行者が急になにかしても回避できる距離です。
なにかする
↓
●振り返る
●ふらつく
など
●1.5mの根拠は?
道路交通法では「どのくらいです」とハッキリと数値は出していません。
しかし1.5 mと指導していたり、国外ではそう決めていたりしています。
間隔は広ければ広いほど安全に近づきますが、道路幅員等から一定の限界 があります。「協議会」では、交通安全教育の現場において、歩行者や自転 車を背面から追い越す場合に 1.5 メートル以上の間隔を保つように指導して いる例が見受けられること、国外の法令で 1.5 メートル以上と規定している 例があることなどを踏まえ設定したものです。
「思いやり1.5m運動」Q&A(PDF:258KB) – 愛媛県
問題文例
1「歩行者のそばを車で進むとき、歩行者との間に安全な問隔をあけ、徐行する必要がある。」
答え:×
理由
安全な間隔をあける、徐行する、の両方を行う必要はないからです。
正解は、安全な間隔をあけるか または 徐行するかのどちらかを行う、ですから問題文の答えは間違いです。
(もしも「または」と問題文に書かれていた場合、正解は〇です)。
2「歩行者のそばを進むとき、徐行は必ず行わなければならない」
答え:×
理由
徐行だけが手段ではないからです。もう1つ、安全な間隔をとるがありますので間違いです。
3「歩行者との間に安全な間隔を空けていれば、そばを通るときにスピードを出してもよい」
答え: ×
理由
「安全な間隔があるならいいじゃないか」と思いそうですが、歩行者は何をするか分かりません。
車に気づいていない場合、話に夢中になるなどして、突然こちらにフラッと向かってくるかもしれません。
スピードを出してもよいという表現が間違いです。
どちらかといえばルールを正しく理解しているかの確認というよりも、運転者としての心構えを聞かれている問題です。
●正しいか間違いかを正確に判断するコツって?
まずは
●正解のルールを記憶しておくこと(できれば一字一句)、
あとは
●「自分だったらこう思うのにこの問題文はおかしい」という考えをいったんやめることです。
また正解のルールのほかにも、正しい心構えを知ることもコツです。
正しい心構えとは「もしもに備える」「歩行者が急に予想外の動きをとっても対処できるか」です。
例えば、問題文に「スピード、加速して、すぐに歩行者のそばを通り抜けても問題ない」といった文章であれば、間違いだと判断できます。
「スピードを出したら、まだ車に気がついていない歩行者が、大きくはみ出た場合ぶつかってしまう。だからもしもに備えて徐行か間隔をあけておこう」と考えるからです。
身内の事例
身内が仕事の帰り道に自動車に乗っていたのですが、歩行者とぶつかって事故を起こしてしまいました。
身内の話によると
●せまい道(車一台なんとか通れる)だったので歩行者の後ろを徐行して進んでいた。
●すると歩行者が急に振り返ったので、そのときに車にぶつかった。
前をいく歩行者に気づいて、ぶつからないようにゆっくり進めていたのは確かです。
しかし歩行者が振り返ることを想定していませんでした。
そのまま前を向いて抜けてくれると考えていたようです。
歩行者は高齢者の方でした。
●高齢者の場合、一時停止 または 徐行。
基本、歩行者のそばを抜けるときは安全な間隔をとるか徐行のどちらか、なので身内のとった行動は交通ルールを守っています。
しかし、基本と違っていたのは相手が高齢者だったことです。
一時停止して待っていれば大丈夫だったかもしれません。
(後続車は特にいなく、慌てることもない状況でした)。
また後ろについていく時に、距離を詰めずにもっととれば回避できたかもしれません。
しかし実際は「早く通り抜けたい」気持ちが勝って進もうとする心理が働きます。
仕事で疲れていて正常な判断が難しかったのもあったと思います。
どちらでもいいとはいえ、歩行者が今どういう状況か?どんな人か?によってとる対応を変えることも大事だと身内の体験から学びました。
今回の場合、徐行よりも「一時停止か安全な間隔をとることが正しい反応」だったというのが結論です。
歩行者に対する正しい心構えとは?
「もし、歩行者が突然予想外の動きをとっても無事に回避できるだろうか?」
「歩行者は車に気づいているだろうか?」
また、歩行者にぶつからなくてすむ時とは、あなたがどういう行動をとったときかを考えてみます。
●徐行→横から飛び出しがあってもぶつかる寸前にすぐに止まれます。
●安全な間隔をとる→歩行者が振り返る、ふらついて寄ってくるなどされても回避できます。
ところが実際は自動車のほうが強い、自動車優先だと考える運転手の方が多くいらっしゃいます。
自分は運転能力が高く、どんな状況でも突破できると思い込んでいるのもあるでしょう。
事故はお互いが自分のことだけを考えているときに起きます。
歩行者が車に気がついて注意しているのならばまだいいですが、運転手も自分の都合だけを考えていますともう止める人はいません。
あとはぶつかるだけです。
ですので、せめて加害者になる確率の高い自動車を運転するあなたが特に注意して歩行者のそばを通ることをおすすめします。
要約
歩行者のそばを通るとき、徐行でいいか?
↓
×(間違い)
↓
なぜ?
↓
●安全な間隔をとる
または
●徐行する
のどちらかを行うことが正解です。
(例外)歩行者→体の不自由な人・高齢者・こども
↓
●一時停止
または
●徐行
のどちらかをとるが正解です。
●あくまでも歩行者優先です。
歩行者が安全に通れる状態を確保することが、運転者としての本来の正しい考え方です。
せまい道で通り抜けることができない場合は、前を行く歩行者が車に気づいていないのでしたら、特に気をつける必要があります。
試験問題はルールを正しく覚えているか確認するパターンと、運転者として正しい心構えを聞いているパターンがあります。
「さっさと通り抜けてしまいたい」と考えが浮かんだ時に、
「でももし歩行者と接触してしまったら?」
「予想外の動きをとったらうまく対処できるだろうか?」
と思い直して、慎重な態度をとる考え方が学科試験の解答を間違えないコツです。