「エスカレーターの階段のところにギザギザの溝があるのはなぜ?なにか意味はあるの?」
人間とエスカレーターの事故防止のため(安全対策)です。
今回は足場のギザギザ、昇り降りのギザギザについて触れています。
エスカレーターのギザギザはなぜある?3つの理由!
服や靴の巻き込み防止
足場がギザギザである理由は、主に服や靴、靴ひも、マフラーなどがエスカレーターのすき間(足場や手すりの横)に巻き込まれるのを防ぎ、ころばないようにするためです。
※あくまで無事に着地できる率を上げます。100%安全にするとはいいきれないです。
雨で濡れた靴の滑り止め
雨の日に、ぬれた長ぐつや靴で乗っても滑るのを防ぎます。
最新のエスカレーターはさらに改良しています。
例えば、ギザギザの凸部分に細かな溝を横にいれたり、黄色い線上に横にまっすぐ山状の線をいれたりしています。(メーカーによって工夫が違います)
参考情報
特徴(安心機能):エスカレーター「VXシリーズ」:昇降機:株式会社日立ビルシステム
ゴミ・小銭の落下防止
昇り降りするところにあるクシになった黄色い部分がギザギザなのは、ゴミや小銭がすき間に落下してエスカレーターの中に紛れるトラブルを防ぐためです。
乗り降りする場所で落ちた場合
↓
黄色いクシになったギザギザの部分ではじかれる(受け止める)ため、中に入りません。
しかし、確実にすべて拾い上げるわけではないため、落ちた角度が悪ければすき間に転げ落ちます。
昇り降りする途中で落ちた場合
↓
どこかの段の上に転がっているか、内部に入り込んでしまっているかどちらかです。
エスカレーターの安全装置は高性能になりましたので、少々ゴミや小銭が内部に落ちても簡単には止まらない作りになっています。
後でメンテナンス業者さんが回収します。
なぜギザギザだといいのか?
エスカレーターの足場や昇り降り場所をギザギザにしておくことで拒む部分をつくり、異物をはじけます。
もしも、ギザギザがなく、まっすぐだとしたら?
↓
そのまま靴や服、小銭などが中に巻き込まれて事故・停止につながります。
特に危ないのは、昇り降りするところです。
足場をギザギザに、そして昇り降り場所もギザギザ(クシ)にしておくことで、
すき間をできるだけ作らないように工夫しています。
具体的にはクシ側の凹が、足場の凸に嚙合わせる形になっています。
また、足場にギザギザ(溝)をつくっておくことで、もしすき間に靴などが入ってしまっても、事故に至るのを防ぎます。
溝でしたら中に靴先や靴の横全部が入ることはありません。
溝に一部だけが入ることで、完全にすき間に巻き込まれて靴が抜けないトラブルを回避できます。
気づいたときにはもう遅いという事態を最小限に食い止められます。
足場の左右端にあるギザギザは、端だけが高くなっていることで、できるだけ靴が横のすき間に巻き込まれるのを防ぐ効果があります。
なぜギザギザは縦なのか?
「昇り降りするところのクシ部分と嚙合わせるためです」
横だと機能しません。
ギザギザは足場だけではありません。昇り降りするところにもあります。
昇り降りするところのギザギザ(黄色いクシ)が、足場に残った異物をはじき出しています。
昇り降りするところのギザギザに嚙合わせるために、足場もギザギザになっています。
異物をはじきだす他にも、足場と昇り降り箇所がギザギザで噛み合うことで、最小限にすき間をへらし、服や靴などが巻き込まれるのを防ぎます。
ただ、最近は横にこまかいギザギザの入ったエスカレーターが登場しました。
濡れた靴の滑り止めのためです。
エスカレーター事故をふせぐ!最新の技術
エスカレーター事故を減らすため、各メーカーがいろんな対策をしています。
例えば、ギザギザの先にやわらかい素材を使う対策です。
転んで当たっても、軽いケガで済むようにします。
デマケーションライン(黄色い線)を増やしました。
以前→三方向
最新→四方向(足の踏み場四方をぜんぶ囲うことで、さらにどこに足を置けばいいかすぐ分かります。
足場の両端をあえて高くしました。
立ちにくくさせて、端に立つのをさまたげます。もし立たれても横のすき間からの距離を遠くしているので、服や長靴などの巻き込みを防げます。
他には、
足場にローレット加工(さらにほそい横のギザギザ)を行うことで、濡れた靴の滑り止め効果があります。
段差のところ(角)にもギザギザの溝を入れることで、踏み外ししてしまうのをなるべく防止できるようにしています。
エスカレーターを歩くのはマナー違反?
足場がギザギザのせいで、転ぶと少しぶつけただけでも痛々しい傷ができあがります。
特に急いでどんどん段を移動していると、転びやすいです。
「どうして、エスカレーターの足場ってあんなにギザギザなんだろう?転ぶと痛いのに!」
と不満を持つ人もいらっしゃいます。
●ところが、歩くことはマナー違反です。
現に例えばJR東日本や日本エレベーター協会が「歩かないでください」と注意をよびかけています。
また、製造側(例:三菱)も高齢者に向けて注意喚起しています。
しかし、現実は歩くことは正しいと信じる人は一定数います。
急いで渡ろうと思って、前にいる人に退いてもらおうと声をかけたものの、無視されて腹を立てる人もいます。
エスカレーター事故は、間違った使い方をしたことが原因で起きています。
間違った使い方
↓
●手すりにつかまらない
●ゴソゴソ探し物
●歩いた
など
●歩くことだけが事故のすべての原因ではありません。しかし
例えば新幹線では必ずのぞみに乗るように、今よりも早く動ける手段があるのならば迷わずそちらを選ぶことが正しい、と思うのは効率化を考えれば間違いではありません。
しかし、エスカレーターの安全対策は正しく使っていることではじめて効果が出ます。
止まっているふつうの階段さえ、あせって駆け下りればケガをする確率は上がります。動く階段、足場が不安定なエスカレーターならばなおさらです。
歩くと確かに早くたどり着くことができますが、バランスを崩しますので、痛い目にあう危険度は上がること、あくまでも周りの遠慮で歩くことができていることは理解しておきましょう。
エスカレーターの正式名称
●足場のギザギザ→クリート(踏面)
●段差のところ→ライザー
昇り降りするところ→くし(黄色い)
足場に落ちたゴミや小銭をはじき、内部まで紛れるのを防ぎます。
足場のギザギザと噛み合う・ゆるやかな傾斜がついていることで、足を上げなくても安全にラクに乗り降りできます。
黄色い線で囲って「この中に立ってください」と暗にうながす→デマケーション(境界区分・黄色い線)
要約
足場のギザギザ
↓
服や靴などが横のすき間に巻き込まれること、踏み外しによる転倒を防ぐため。
(最近は横にこまかな溝をつけて濡れた靴の滑り止め効果もついています)。
昇り降りするところのギザギザ(クシ)
↓
足場に転がり落ちたゴミ・小銭をはじくため。
(服や靴の巻き込み防止効果もあります)。
昇り降りするところのギザギザ(クシ)に合わせるために、足場もギザギザになっています。
異物をはじきだすために、安全に乗り降りするためにギザギザは必要です。
ところが、足場がギザギザなために、転ぶと大けがをすることがあります。
とはいえ、そもそもエスカレーターは歩いて移動することを考えた作りになっていません。
エレベーターと同じで立ったままでいることを想定しています。
しかし、片側あけルールが存在するように、急いで渡りたい人用に道をあけているのが現実です。
事故の原因は手すりにつかまらないなどもありますので、歩行だけを目の敵にするのは全面的に正しいかと聞かれれば素直に「はい」といえないです。
また、エスカレーターは特にお子さん向け、お年寄り向け、体の不自由な方向けに対策しています。
よって、お子さんやお年寄り、体の不自由な方が、守る優先度は高くなりますので、大人が歩いてケガをしたときは自己責任と考えた方がいいかもしれません。